岸田秀の本は殆ど読んでいます。近頃はあまり書籍化されないので楽しみにしていました。
初めて岸田秀を読んだのなら衝撃的な本となるでしょう。わたしが初めて岸田秀を読んだときに、世界の見方がひっくり返った気分になりました。
岸田秀が提唱している唯幻論はフロイトの精神分析をベースにした世界の捉え方です。人間が認識できる全ては幻想から成り立っているという理論です。
人間は本能が何らかの原因で本能が壊れてしまって(断片化した)このままでは世界を認識できなくて滅びてしまいます。そこで人間はがんばって自我(幻想)を作ってなんとか世界を認識しようとしました。だけど自我は人間が作った人工物であるので完璧ではなく、さまざまなバグが生じてしまうのです。
唯幻論を使用すると人間の自我、国家間の関係・歴史、男女の関係など、人間が関わっている全てについて理解が可能です(唯幻論が正しいかは置いておいて)。
国家間の関係・歴史も人間がしたものだから人間関係として分析できます。国の政治なども頭のいい人が考えに考え抜いて行われているのではなく「この人好き」「この人むかつく」などという感情で動いているそうです。
唯幻論をつかうとだめサラリーマンのわたしでもニュースの出来事を自分なりに分析することができます。自分ではなかなかうまく分析できていると思うのですが。。。
もともとは昔神経症的な症状に悩んでいる時(今もありますが)に岸田秀を読みあさりました。完全には理解できませんでしたが随分と心が楽になりました。
唯幻論は世界や自分自身を理解するのに役に立つと思います。好き嫌いはあると思いますが一度は読んだほうが良い本です!